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あの時俺はホノオとなった。アオイホノオ 一巻から三巻までの感想。

 

アオイホノオ一巻から三巻までのネタバレを含みます。


サンデーうぇぶりで、アオイホノオが一巻から三巻まで期間限定無料公開されていたので読んだ。
 これがまたすばらしく心に染みた。

これまで島本和彦の漫画は『燃えろペン』、『吼えろペン』、『逆転ナイン』しか読んだことがなかったが、それらとは違う意味で熱い内容だ。やけどしそうなぐらい青く淡いのだ。

 作品内容は漫画家を目指す大阪芸術大学の一年生ホノオが試行錯誤する話なのだ。彼の毎日は煮えたぎらない。迷走し、暴走し、もんもんとしている。妄言や暴走ばかりだ。そのくせ夢はあきらめずに一直線ではないものの頑張って進んでいく。彼の物語は、まるで小説家を目指して試行錯誤している自分と重なるようだ。
 しかしふと胸に手を当てると、ホノオのように燃えることができない、いや燃えることから逃げている自分に気づく。怖いのだ。燃えた結果何もできずに灰になるのが。
 この漫画の主人公、ホノオの魅力は、勝つことでも完璧なことでもない、全体的にどうしようもないやつではある。しかしそれでも燃え続け、戦い続けいる。そんなホノオを見ていると、全体的にどうしようもない状態にいる自分でももう少し戦える、もう少し燃えることができる気がする。
 無謀な状態であっても、戦いたいと思っている自分、燃えたいと思っている自分、燃えながら自分自身と戦っている自分を肯定していいと思えるのだ。


 私はこの漫画で思わず涙を流してしまった場面がある。それは持ち込み用の原稿を完成させ、出版社に言ったものの、思っていた成果を出すことが出来なかったホノオがたまたま立ち寄った映画館でロッキーを見たシーンだ。

 ロッキーは勝つことはできないものを何とか、立ち上がる、それが彼の戦いだ。それを見て応援しているホノオ、ホノオは自分に勝つことはできず、連載にこぎつけることはできないものの何とか、作品を書こうともする、それを応援する俺。

 あのシーンの瞬間僕はホノオになった。ホノオと一緒に泣いた。ホノオとしてこれまで戦って来られた気がした。そしてこれからホノオのように戦おうと思った。

アオイホノオは現在十数巻まで続いているらしい。それらもぜひ読み進めたいがそれをするのは僕もホノオと同じように原稿(僕の場合は小説)を書き上げ、投稿できてからにしようそうしたら僕はきっと、またホノオと一緒に打ちのめされたり、戦えたりする気がする。