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『アオイホノオ』と理想の青春と苦しみ

私は今年の春『アオイホノオ』読んで泣きました。もともとイメージロンタリングも香りがしえあまり好きではなかったのですが、改めて読んでみると面白かったです。

 『アオイホノオ』にはいつか魅力があります。純粋に島本和彦の自伝漫画としての魅力のほかに、『おしん』としての楽しみ方言うならば、あの時代を生きた若者全員の集合体としての人物ホノオという魅力もあります。

 私が『アオイホノオ』で感動したのは、庵野秀明らへの思いです。私はホノオのライバルは山賀だと思っています。最初に彼がホノオを仲間にいれなかったためにホノオの運命が決まります。

 本当はホノオはつまり島本和彦こと手塚青年は庵野秀明らとつるんで学生生活をする手だってあったはずなのです。しかしなぜかそれは叶わなかった。もしかしたら『ダイコン3』や『オネアミスの翼』、『プリンセスメーカー』、『ナディア』、『エヴァンゲリオン』、『シンゴジラ』などは手塚青年も一緒に作っていた未来があったかもしれないのに、その未来は来なかった。本当は一緒に学園生活を送りたかった。その思いが『アオイホノオ』にはあふれています。だからホノオと庵野秀明たちの青春が交互に描かれているのです。

 そしておそらく『アオイホノオ』を連載始めていた頃にはその傷がまた癒えていない。だからあんなに魅力があったのでしょう。

 

 自分の作品が彼らによってアニメ化されたもののおそらく納得が言ってないのではないでしょうか。

 『アオイホノオ』はやがて実写化されます。電通の力を借りて、カッコいいテーマソングやBGMも作られます。庵野秀明との対談も以前から何度も行っていますが、自分の単行本のコミックも巻末に収録できたりもしています。

 あの頃の憧れていた人たちがたくさん自分の作品のドラマに出演しましたし、かなりのヒットとなりました。

 また庵野秀明が参加した作品『シンゴジラ』についてツイッターで呟いていたらイベントになったりもしました。

 

 しかしそれで手塚青年の心が満たされたのかはわかりません。なんだか私にはいまだに苦しんでいるような気がするのです。

 庵野秀明ガイナックス組とは友情をあると思いますし、あると信じていると思います。しかしどこかいいように使われているという面もあります。

 

 自分たちをカッコよく描いてくれる実話を元にした作品があれば参加するでしょうし、応援もするでしょう。作者とお話だってするでしょう。しかしそれで良いのでしょうか。だめではないでしょうが、どこか痛みもあるのではないでしょうか。

 島本和彦の言動を見て入ると、おそらくほとんどキャラでしているのでしょうが、どこか本気でああいうキャラをしているところも感じます。

 ああいうキャラでありたいという理想がいまだに残っている。しかしそういうキャラになれないのもわかっている。そのため自分はビジネスでそういうキャラを演じていますという体で本当に自分のなりたかった姿であろうとしている。地に足がついてない感じがするのでどこか痛いところもあるけど、本気でしているし、そういう熱さの魅力も知っているので彼の漫画を読んでいるとどこか本気で勇気づけられるところがある。

 せこいところもあるけど、本気で作品を愛しているし、自分の理想も持っている大人。

私は電通のことを批判しているので、電通と組んで作品を作っている島本和彦には思うところがあります。それはウルトラマンも同じです。

 私は鬱になっている時に『アオイホノオ』を読めて良かったと思っています。そのためダブルスタンダードではありますが、彼の在り方からはいろんなものを学ばせてもらいました。島本和彦は勝手に心の中の師匠の一人となっています。